【高配当の東証プライム暫定17銘柄】企業価値を上昇させる必然性の高い会社

テーマ型高配当株

普段は累進配当やDOE採用銘柄に注目している二イマルクですが、一部銘柄の高配当株にも投資をしています。

前回の「来期予想配当利回りが7%以上のニチモウ(8091)」の記事でも紹介しましたが、高配当株投資アイデアの一つとして「市場再編による東証プライム暫定銘柄」に注目しています。

ニチモウ以外にも高配当の東証プライム暫定銘柄があるので、取り上げてみたいと思います。

東証再編に伴い新設された東証プライムの上場維持基準に適合しない企業は、一定の経過措置期間であれば暫定的にプライムで上場することができます。
上場維持基準に適合するための取組みとして、株主還元を強化して企業価値を高めようとする銘柄の中で高配当が期待できるものをチェックしています。

東証の市場再編(2022年4月4日)

ご存じのとおり、2022年4月4日に東証の市場は次の3区分に見直しされました。

東証の新市場区分

①プライム市場
②スタンダード市場
③グロース市場

見直しされた理由は、従来の4市場区分(東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQ)の要件が重複していたりコンセプトが曖昧であること、上場後の企業価値向上に結び付いていないといった課題があったためです。

市場再編後は3市場区分ごとにコンセプトが設定され、下表のような①流動性・②ガバナンス・③経営成績/財政状態における上場基準も設けられました。

項目上場維持基準
①流動性株主数800人以上
流通株式数100億円以上
売買代金平均売買代金2000万円以上
②ガバナンス流通株式比率35%以上
③経営成績・財政状態財政状態純資産額が正であること
東証プライム市場の主な上場維持基準(日本取引所グループHP参照)

今のところ経過措置の期限は設けられていませんが、最近の報道によると2023年初にもその期限が決まりそうです。(2025年3月頃?)

市場再編時にプライム市場を選択した企業は、プライム市場の上場基準を維持する必要がありますが、当面の間は上場維持基準が緩和される経過措置が設けられています。

ここが、本記事のポイント!

ただし、プライム市場の上場基準に適合しないまま暫定上場するためには「上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出し、将来的にプライム市場の上場基準に適合する必要があります。

この「上場維持基準の適合に向けた計画書」が興味深く、企業価値の向上や株主還元強化を具体的に掲げる企業が多く見られます。(一部には、諦めているかのように内容に乏しい企業もありますが・・)

経過措置が終了後に上場基準に適合しない場合はプライム市場から脱落するため、お手盛りの対策では通用しません。

二イマルクは「上場維持基準の適合に向けた計画書」で株主還元について具体策がある企業の本気度は高いと推測し、チェックをするようになりました。

高配当(配当利回り4%以上)が期待できる東証プライム暫定の17銘柄

東証プライム市場の基準に適合せず、「上場維持基準の適合に向けた計画書」を開示した企業は295社あります。

今回は295社のうち、「上場維持基準の適合に向けた計画書」又は「2021年以降に中期経営計画等で配当政策を公表している企業」の中で予想配当利回りが4%を超える銘柄をまとめてみました。(2021年以降の中期計画は、プライム上場基準を意識した配当政策と推測して対象に含めました)

紹介する銘柄以外にも半導体商社のトーメンデバイス(2737)など高配当株がありますが、「上場維持基準の適合に向けた計画書」で具体的に配当強化策がないと思われるものは除いています。

コード銘柄株価
(円)
予想
配当金(円)
予想
配当利回り(%)
配当政策
1814大末建設1150605.2配当性向50%
2311エプコ725324.4配当性向50%及びDOE8%を目安
2676高千穂交易21131165.5配当性向100%(ROE3期平均8%達成まで継続)
4093東邦アセチレン1089504.6継続的な配当の引き上げを図る
4248竹本容器75135.54.72024年12月期までDOE4%をめど
5185フコク1052524.9・配当性向30%を目安
・配当下限20円
5985サンコール622386.1ROE9%を超過するまで配当性向75%を維持
6358酒井重工業33451805.4・ROE3%未満:配当性向100%
・ROE3~6%:DOE3%
・ROE6%超:配当性向50%
6763帝国通信工業1370604.4配当下限を60円
7059コプロHD970404.1配当下限40円で減配を行わず、安定的な配当を行うことを基本方針
8007高島28941404.8・総還元性向50%
・配当性向40%以上
8011三陽商会1195504.22024年2月期以降はDOE2%を目指す
8065佐藤商事1212635.2連結みなし当期利益の30%以上、かつ下限は48円
8091ニチモウ27151405.2配当性向30%に引上げ
8904AVANTIA789384.8配当性向25%程度かつ配当下限38円
9381エーアイティー1393805.7連結配当性向60%を目指す
9788ナック930404.3配当性向100%以内でDOE4%
2022年12月23日終値データ

17銘柄のうち二イマルクが特に注目しているのは高千穂交易(2676)、酒井重工業(6538)、高島(8007)、ニチモウ(8091)の4銘柄です。

高島以外の3銘柄は、二イマルクの保有銘柄です。

今回は紹介しませんが、フコクは(5185)は経済産業省のグローバルニッチトップ100選の選定企業ですね。

高千穂交易(2676)

商品の監視システムや防火システムを取扱うエレクトロニクス商社です。

高千穂交易はROEの3期平均が8%以上まで配当性向100%にするという計画を発表し、株主資本効率を上昇させて企業価値を高めていく強い意志を感じます。

ニッセイアセットマネジメントの調査によると、ROEが8%未満の場合はROEと株価に相関性はありませんが、ROEが8%以上になると1%の上昇につきPBRが0.36倍高まる正の相関関係があるようです。

つまり、株主資本効率を上昇させてROEを8%以上することができれば株価上昇につながるということですね。このため、投資家が期待する利益収益率はROE8%以上と言われています。

2014年に経済産業省が公表した「伊藤レポート」でも日本企業はROE8%以上を目指すべきとされており、中期経営計画でROEを指標にする企業も増えてきています。

松井証券が2017年7月27日に公表した配当政策に関する資料でも、伊藤レポートのROE8%に言及しています。
※現在の松井証券の配当政策は、2018年9月に公表した「配当性向60%以上、かつDOE8%以上」となっています。

松井証券(2017年7月27日公表資料)

酒井重工業(6358)

道路転圧用ロードローラーで国内首位の道路機械の専業大手企業です。

酒井重工業は配当を安定的にするDOEを配当の指標としており、業績も好調です。


DOE採用銘柄は二イマルクの主要な投資対象となっており、配当政策としての特徴を記事にまとめたのでご覧になってください。

ニチモウ(8091)

「浜から食卓まで」を掲げ、水産・魚網などの海洋事業のほか、食品加工を取り扱う企業です。

ニチモウは、17銘柄の中では増配余力で一番期待している銘柄で、記事としてまとめていますのでご覧になってください。

高島(8007)

建材と繊維の商社で、太陽光発電にも力を入れているようです。

2022年3月期までは期末一括配当でしたが、2021年11月の上場維持基準も適合計画書で中間配当を実施することが発表されました。

理由は株主還元機会の向上と株式売買の活性化です。

適合計画書で株主還元を強化していること、業績も良好であったため購入しましたが株価が上昇していたため一旦、利益確定で売却しています。

ウォッチリストには入れているので、株価が下がる場面があれば購入を検討しようと思っています。

配当投資アイデアとしてのプライム暫定銘柄

二イマルクがプライム暫定銘柄に着目した理由

①上場基準に適合するために企業価値を向上させる必然性がある状況の暫定銘柄は、簡単に「上場維持基準の適合に向けた計画書」で掲げた株主還元政策を取り下げることはないと思います。
②プライム上場維持の流通時価総額にも関連しますが、2022年10月にTOPIX組み入れの変更が始まり流通時価総額100億円未満企業の比率が段階的に低下することからも、プライム上場基準適合と併せて企業価値を向上させる取り組みが期待されます。

上記2点の二イマルク的推測から、配当投資のアイデアの一つとして減配リスクが低めにコントロールされると思われる高配当株として株主還元を強化したプライム暫定銘柄を投資候補として考えています。(もちろん、各企業の業績確認は必須です)

留意点として、二イマルクが着目した理由に反して大末建設(1814)は2022年10月25日に予想配当金を100円から60円にあっさりと減額修正し、株価も急降下しています。
理由は建築資材の高騰によるコスト上昇とされています。
インフレの影響・為替変動も大きくなっているので、業績確認の重要性が高まっていると思います。

プライム暫定銘柄への投資で注意したい点(TOPIX除外の可能性を考慮する)

TOPIXの構成要件である流通時価総額100億円を満たさない企業は組入れ比率が段階的に低下し、2025年1月には最終的には除外されてしまいます。この結果、指数連動型のETF等による資金流入が減少し、株価が下落する可能性が指摘されています。

流通時価総額100億円の基準は東証プライムの上場維持基準とTOPIX構成要件に共通するものです。

東証プライムの暫定的な経過措置が設けられているのとは違い、TOPIXは2023年10月末から段階的に低下させていることから厳しい対応であることがわかります。

2022年10月7日に日本取引所が公表した資料によると、現在のTOPIX構成銘柄2168社のうち、493社がTOPIXの構成要件を満たさないため組入れ比率の引き下げ対象となっています。(出典:日本取引所グループHP

2023年10月に再評価があり、そこでTOPIX構成要件の①流通時価総額100億円、②年間売買代金回転率0.2の両方を満たせば元の構成比率に段階的に引き上げられます。

日本取引所HPがを認したところ、今回紹介した17銘柄のうち12銘柄がTOPIXの構成要件を満たさずに組入れ比率が引き下げられています。

TOPIX組入れ比率引下げ対象でない5銘柄

①フコク(5185)
②帝国通信工業(6763)
③佐藤商事(8065)
④エーアイティー(9381)
⑤ナック(9788)

今回は二イマルクの高配当株投資のアイデアとして東証プライム暫定銘柄を取り上げてみました。

引き続き、東証プライムの上場維持基準の進捗・TOPIXの要件を満たすための取組みとして株主還元に積極的な高配当株を注視していきたいと思います。

本記事は投資を推奨するものではありません。
また、数値に誤りがある場合もありますので最終的にはご自身で確認した上で判断してください。

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